せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】医薬品分析をマスターしよう

2021.05.23

本校には土曜日・日曜日のみ2年間通学し、
分析化学の技術を初歩から学ぶことができる「化学分析学科」があります。
緊急事態宣言下ではありますが、化学分析学科は1学年定員20名の少人数生であるため過密になることはなく、
以下のような新型コロナウイルス感染症対策も実施しているため、登校可能となっています。

・教職員、学生のマスク着用
・玄関での検温、手指の消毒
・校内各所に消毒用エタノールを設置
・座席間隔の確保
・実験配置の際の適切な間隔の確保
・使用教室、実験室の適宜換気

この学科に通学する学生達は、平日仕事をしている方も多く、
また他府県からの通学者もいますので、通学時の感染リスク回避のため、
Zoomによる遠隔授業の受講も認められています。

このような状況下ではありますが、本日も学校に登校してきている学生がいます。
本日2年生は午後から応用分析化学実験Ⅱの日でした。
今日の実験内容は「日本薬局方に基づく医薬品の分析」です。
化学に限らず工業の世界では、国や公的な団体が定めた公定分析法というものがあります。
医薬品については、日本国内では「日本薬局方」という基準が有り、
どの医薬品メーカーもこの方法に則って検査や品質管理を行っています。
今日はその極一部ですが、HPLCを用いた分析方法を学びました。

調べたのは、栄養ドリンクなどにもよく含まれるビタミンB群の1つ「チアミン」です。
この物質をHPLC(高速液体クロマトグラフ)という機器で測定しました。

この機器は1年生の時にも実験で扱いましたが、そのときは日本薬局方とは異なる比較的簡単な方法で実験しました。
今回は日本薬局方に記載されている文章をテキストとし、繰り返し測定なども行い、
実験結果の再現性なども確認する内容になっています。

一度、経験していて流れは理解しているものの、試薬の調製などは慎重に行い実験準備が完了しました。
ここの調製が失敗していては、後の結果がだいなしになってしまいますからね。
そして久々のHPLCの操作を行いました。本校では20歳台の学生から60歳を超える学生まで幅広く学んでおり、
同じ分析の技術を身につけようと頑張っています。

ちょうどNさんとTさんがHPLCの操作をしようとしているところです。
『久しぶりにこの機器で実験しましたが、思ったより操作を覚えているもんですね』
等と口にしながら学生達は前回の操作を思い出しながら機器の操作を行っています。

教員が演示して見せるだけ、動画で見せるだけではなく、
自分自身の手で機器を扱った経験がこういうところで生きてくるのですね。

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実験結果は再現性も良く、まずまずの結果だったようです。
この様子だとレポートを書くときにも結果の考察に悩むことはなさそうですね。
次回のレポート提出を期待しています。

さて、この化学分析学科についてもう少しご説明をさせていただきます。
この学科は平日にお仕事をしていたりして、平日に登校することが難しい方が登校して分析化学を学んでいます。
20年程前ならば化学系の夜間大学もいくつかありそこで学ぶ選択肢もありましたが、
今はそういう勉強の仕方も難しくなりました。
そういった学び直しをしたい方が大学の4年間よりも短い2年間で分析化学の技術を学び、
転職や今の職場でのスキルアップ、また資格を取得して自分の営む事業を拡大する等の
目標をもって学ぶことのできるのがこ化学分析学科なのです。

また、この学科では、平日に通学する学科と同様に卒業した際に、国家資格を含む
4つの資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者・
環境管理士(2級))も全員が取得できます。

ブログの文章中でも紹介しましたが、在籍している学生の年齢層も幅広く、
それぞれの出身地や勤務先などバックグラウンドも様々です。
そんな環境ですが同じ目標を目指すものどうしお互い刺激を受け合い勉強できるため、
高校時代や大学時代よりもしっかりと学習する内容が身についたという感想を学生達からよく聞きます。

卒業まであと約10ヶ月、その間に技術と知識をしっかりと身につけていきましょう。

by ドラいちろう