せんせのブログ

いろんなプラスチック、作って分析!

2010.10.29

・今日の実験室でもいろんな分析アンド合成?

 昨日に引き続き、今日も二年生の卒業研究を紹介します。
 今日は資源分析化学科と有機テクノロジー学科の卒業研究です。中でも今回は有機テクノロジー学科の研究を紹介しましょう。
 本校は「分析化学」を勉強できる学校ですが、この有機テクノロジー学科は、さらにいろんな物質をくっついて新しい物質を作る「合成」という技術を勉強することができます。つい最近日本人ノーベル化学賞で話題となった「鈴木カップリング」や「根岸カップリング」というのも「合成」の技術です。今日もノーベル化学賞を肌で感じながら(?)学生たちは色々な研究テーマに取り組んでいました。

 今日はいろんなプラスチックに関する研究について紹介しましょう。
 まずは、クエン酸からプラスチックを作る研究です。クエン酸はレモンなんかに含まれるあの酸っぱい成分です。これにグリセリンという物質を加えて加熱するだけでプラスチックができました!
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しかしどんな性能をもったプラスチックなのかは、これから分析することで明らかになるでしょう。
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水槽の中に縦長も変わった形をしたガラス器具が沈められています。これは「オストワルト粘度計」というもので、これでプラスチックの分子の大きさを分析することが出来ます。こうした分析機器、器具を使って、「合成」で作った材料を「分析」することで研究が進められていきます。
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 今度は「ドラッグデリバリーシステム」という研究。難しい名前ですが、実は、生体内のある条件の時だけ薬物が放出されて、それ以外の時は何もしないという「頭のいい」医療用材料のことです。実はこの「頭のいい」材料も、プラスチックの一種です。写真中の黄色く見えるのがドラッグデリバリーシステムと呼ばれるプラスチック材料です。
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クエン酸プラスチックの場合は加熱するだけでしたが、この材料は紫外線をあてて作っています。光っているのが紫外線照射装置です。プラスチックを「合成」する、といってもいろいろな方法があるんですね。
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 最後の班は「バイオベースポリマー」というプラスチックを合成しています。
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上の写真の黄色く濁った成分が「合成」したプラスチックです。これをろ過すると、下のような粉末状のプラスチックが取り出せます。
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「バイオベース」とは「天然物由来」という意味。いまのプラスチックの多くは石油を原料として作られています。しかし、この班の研究では、その石油に頼らない、天然の植物成分を材料とした新しいプラスチックを探しています。
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上の写真は植物の「葉緑素」(葉っぱの緑色の成分)を原料とした色素(真っ黒い液体がそれです)を取り出しているところです。この葉緑素から作った色素をさらに原料として、新しいプラスチックの「合成」にチャレンジしています。あと、オレンジの皮などに含まれている「リモネン」もプラスチックの原料にできないかを検討中です。

本校では、「プラスチック」といっても、その原料、そして医薬品への応用など、いろんなアプローチで、いろんな研究テーマが進められています。奥が深いですね。
 彼らのチャレンジが実を結ぶのは来年2月の卒業研究発表会です。どんな結果が出たとしても、非常に楽しみですね。

Byあおひげ