せんせのブログ
【土・日開講「化学分析学科」】今日はみんなで水質調査!
2025.06.01
本校には土曜日、日曜日だけで開講している『化学分析学科』という学科があります。
専門学校と言えば、高校卒業後すぐに進学する学校と考えて居られる方も多いと思いますが、この化学分析学科には幅広い年齢層の学生が通学しています。この学科は、平日開講の学科に通学できない社会人やダブルスクールの大学生、フリーターや主婦などにも門戸を広げ、リカレント教育や資格取得の勉強をしています。『高校を卒業していること』が入学要件ですので、高校を卒業してすぐに入学してきた学生もおり、今年度は各学年に1名ずついます。入学してくる学生達の目標は様々で、本校で分析化学の知識と技術を学んで就職や転職を目指している方や、化学や化粧品に関する資格取得を目的としている学生が多い印象です。
平日開講学科と同様に2年間で卒業でき、卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できます。
今週は河川水中のリンの量を測定する実験をしました。リンという元素の名前は知っていてもどんなことに役立つ元素か知らないかたも多いのではないでしょうか。まずリンは肥料として必要です。農作物を育てるには、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)が必要なので、肥料にはリン化合物が配合されています。また生物のDNAやRNAにもリンが必要です。その他、身近なところでは歯の主成分ヒドロキシアパタイトにもリンは含まれています。最近は昭和40年代あたりだと洗濯洗剤の泡立ちをよくするための薬剤としても加えられていました。
リンが少ないと植物が成長しにくくなりますが、河川の水にリンが多すぎると植物性プランクトンが爆発的に増えて、アオコが発生して魚などの水棲生物の生活環境を悪化させます。現在、洗濯洗剤にリンが含まれなくなったのも、琵琶湖や瀬戸内海などでリンによる富栄養化が進んで水産資源に大きな悪影響を与えたからなんです。
リンは必要だけれども、多すぎると悪者になってしまうので、適正な値かどうかを調べて見ます。
リンと反応する特別な試薬を反応させると、溶液が青くなります。リンがたくさん入って入れば青も濃くなります。その仕組みを使ってリンの濃度を測定してみました。検量線用に7段階、川の水を2種類用意して実験を行いました。
結果としては、淀川水系の平均的なリンの含有量より少し多いという結果になりました。前日に雨が降ったりした影響もあるのかも知れませんね。
また別の実験室では、平日に通学する学生達の環境委員会が『道頓堀川の水質調査』を実施していました。この水質調査は本校で20年以上続いている調査です。平日の学生も土日の学生もみんなで水質調査する日になってしまいましたね。
今日は朝から道頓堀川にサンプリングに向かい、午後から滴定などの操作を行っています。この写真の実験はどうやら道頓堀川の水に含まれる酸素の量を調べるDOの実験みたいですね。
2年生が未経験の1年生達に手ほどきをしています。1年生達も本校に入学して2ヶ月ほど経ち、ある程度実験器具の扱いも慣れて生きているようです。2年生の指示にもきちんと対応して実験できているようですね。
この実験はあと数日続きます。実験操作だけではなく、データのまとめ方、Webでのデータの発表の仕方も先輩から学んでいきます。1年生の皆さんは1年後には次の後輩に指導できるように今からしっかり実験を身に付けていってくださいね。
by ドラいちろう