せんせのブログ

【土・日開講「化学分析学科」】定量分析に挑戦!

2022.08.28

本校には土曜日、日曜日だけ開講している『化学分析学科』という学科があります。

この学科は平日開講の学科に通学できない社会人や大学生、フリーターや主婦などを主な対象にしており、学生達は就職や転職、今のお仕事でのスキルアップ、資格取得などを目標として学んでいます。
これまでには高校を卒業した後に、自分で働いて学費を賄いながら通学している学生もこれまでに何人もいます。

毎週土日のみの通学ですが、平日通学学科と同様に2年間で卒業でき、取得できる資格も同じです。
また、学年定員20名なので学生ひとり一人に丁寧な指導ができることも特徴です。

卒業と同時に無試験で国家試験を含む4つの資格(毒劇物取扱者責任者・化粧品総括製造販売責任者・化粧品製造業責任技術者・環境管理士(2級))を取得できるため、資格取得を目的とした方の入学も増えています。

今日の化学分析学科1年生は定量分析実験の1項目、重量分析を行いました。
この実験では鉄が溶けている溶液の中に鉄がどれだけ入っているかを調べます。
鉄だけを上手く沈殿させて回収し、その重量から鉄の含有量を求めるのです。

まず最初にルツボという陶器でできた入れ物を重量が一定になるまで水分か乾燥するようにバーナーで焼きます。入れ物の重さが変わってしまうと、中身をいくら正確に調べても意味がありませんからね。

実験の際に『セトモノでできたルツボって言う器具を使います』と説明していたら愛知から通学しているEさんに『関西はセトモノのイントネーション違うんですね』と指摘されました。

全国から通学する学生のいる化学分析学科なので、なるべく標準語のイントネーションを使おうとしているのですが、瀬戸市を有する愛知県民には、セトモノのイントネーションは引っかかったようです。

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バーナーで加熱しては冷却して天秤ではかります。冷却中に湿気を吸ってはいけないので湿気を防ぐデシケーターという器具に入れて保管します。はかる天秤も毎回同じ機械を用います。天秤1台1台の誤差もありうるので、そこまで慎重に実験を行います。

続いて鉄の沈殿の作成です。

定性分析実験の第4族の実験はまだ学生達は経験していないのですが、ガイダンスでは説明しているので、『定性の第4族の沈殿を作るのと同じ反応を使っているんだよ』と解説をしながら実験をします。

アンモニアを加えていくと徐々に赤茶色の沈殿が生成してきました。

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沈殿ができたらろ過をし洗浄します。その後沈殿に含まれる不純物が残っていないかM先生が確認を行います。『先生厳しいわ!』という声も聞こえてきますが、ここでチェックが甘いと重量に誤差が生じてしまいますので念入りに確認します。

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ここの確認反応も定性分析実験の第5族の確認反応で用いる反応と同じものを使います。

化学の実験って、それぞれ全く別のものではなく、基本的な実験の組合せで複雑な実験が成り立っている側面があります。1つ1つを別のものとして覚えるのではなく繋がりを持たせて覚えていくと、『化学は単なる暗記科目』なんて感じることはなくおもしろみも出てくると思います。

明日も引き続き実験があります。明日は初めての機器分析の実験です。

今まで座学だけで学んでいた機器を実際に扱う日がきました。楽しみにしている学生も多いようです。実際に扱って実感することで、座学だけでは理解できなかった部分を体感できると思います。

明日からの実験も頑張りましょう。

by ドラいちろう