2014.12.13
本校では、平日に通学できない方を対象に、週末(土曜日・日曜日)開講の「化学分析コース」を
設置しています。通学は週末だけですが、平日の学科と同じ2年間で卒業でき、卒業時に無試験で
取得できる国家資格(毒物劇物取扱責任者・化粧品製造業責任技術者・化粧品総括製造販売責任者)も
全員が取得できます。このコースに在籍する学生は、平日学科の学生と同様に、化学関係の仕事に
就職したいと考えている方、既にお勤めの方はスキルアップを目指して、また事業の拡大を考えて
いる経営層の方など、それぞれの目的を叶えようとしています。このような、在校生の多種多様な
入学目的を達成するために、この化学分析コースは各学年、20名の少数精鋭で開講しています。
1年生は午後から応用分析化学実験に取り組みました。この実験は定性分析実験
(何が含まれているのかを調べる実験)や定量分析実験(調べようとする成分が
どれだけ含まれているのかを調べる実験)で用いた原理や操作を応用し、食品や
河川水等の環境試料を、国や公的機関が定めた分析法(公定分析法)で測定する、
いわば1年生の集大成となる実験で、実務的な経験をすることも目的の一つです。
今日のテーマは市販飲用水(ミネラルウォーター)の硬度測定です。この硬度は
ミネラルウォーターにカルシウムやマグネシウムがどれだけ含まれているのかを
表すものですが、もともとは洗剤の洗浄効果を妨げる成分量を把握する指標です。
また、水の味にも直結した指標でもあるため、成分表示に記載された硬度の値を
見て、購入する水を選択している消費者もいます。今回は、その成分表示の値を
理論値と仮定して、自分たちが分析した実験値と比較することを課題にしました。
実験中の様子ですが、滴定はこれまでの実験で何度も繰り返して行っているので、
スムーズに進めることができていました。また、11月2日(日)のブログにて
紹介していますが、定性分析実験で学習したカルシウム・マグネシウムの性質や、
試薬との反応など、基礎となる実験とのつながりを考えながら進めていました。
さて、分析結果はどうだったでしょうか。全班の分析結果について、理論値との
誤差は全て±5%以内に入り、一つひとつの操作がしっかりとできていること、
概ね正確に分析できていることが分かりました。実験後、H君(左上の写真)は
次のように話をしていました。
『応用分析化学実験では、これまでに修得した知識や技術を使って、実際の試料を
測定するので、楽しいですし、興味深いです。軟水や硬水といった言葉は知って
いましたが、その定義や測定法をガイダンスで知り、今日、実際に実験を行って、
このような方法で硬度が測定できることに驚きました。また、添加する試薬量に
よって、滴定の終点の判別が難しい面もあったので、適切な量を添加することの
大切さを、実験を通して、体感できたことは良かったです。』
1年生は今後、理論値そのものが存在しない試料を分析し、自分の出した結果に誤りはない!と
示すためのステージへとステップアップしていきます。入学してから8ヶ月が経過して、着実に
技能を高めてきた1年生たちの、今後の更なるレベルアップを楽しみにしています。
by あずみ