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-実験 NO.173-

実験B-18 <実験室でハーブティーの巻>

所要時間
90分
投稿者
日本分析化学専門学校

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準備するもの

【使用器具・薬品】
・ハーブティーのティーパック(ラベンダー、マロウブルー、ローズレッド他) 
・0.1M酸性溶液(強酸として塩酸、弱酸として酢酸)
・0.1Mアルカリ性溶液(強塩基として水酸化ナトリウム溶液、弱塩基としてアンモニア水)
・ビーカー      
・試験管(あるいは点滴皿)
・試薬瓶
・スポイト(あるいは駒込ピペット)
・ホールピペット
・コニカルビーカー(無ければ小さめの三角フラスコでよい)
・ビュレット
・pHメーター(あれば尚良い)

【材料の入手】
・ハーブティー(梅田ロフトにて購入:15種類:600円)
・塩酸(1級)(500mL:530円)
・酢酸(1級)(500mL:740円)
・水酸化ナトリウム(1級)(500g:750円)
・アンモニア水(1級)(500mL:550円)

実験の手順

  1. 溶液の調製
    A.色素抽出液の準備
    1) 熱湯にハーブティーを約30分間放置し、色素を抽出する。
    2) 抽出液を試験管に1mLずつスポイトでとる。(点滴皿にとる場合は1滴で良い。)

    B.0.1Mの酸溶液およびアルカリ溶液の調製
    適当な酸、アルカリ(塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム溶液、アンモニア水など)を約0.1Mに調製する。
  2. 色の変化を観察
    試験管(あるいは点滴皿)にとった色素に、色々な酸やアルカリの溶液を1mL(1滴)加え、
    変色の様子を記録しておく。
  3. 中和滴定にチャレンジ
    ここまででも色の変化を含めその香りもかなり楽しめるが、もう少し踏み込んだ実験として
    中和滴定の指示薬として使用できるかどうか判定する。
    1) ビュレットにアルカリ溶液、コニカルビーカーには酸溶液5mLをホールピペットで分取する。
    2) 指示薬として、各ハーブティーの色素抽出液を色が分かる程度に加え、滴定を行う。
    3) ハーブティーの色素が変色した時点での滴定値を記録し、計算の結果、酸の濃度が
    調製した濃度と一致するか確認してみる。
    ※pHメーターを使ってさらに詳しく変色域を分析するのもおもしろい!

アドバイス

  1. 水酸化ナトリウムは、潮解性が大きいためはかりとり時、直接手で触れると
    手の水分で強アルカリ性溶液になるため、必ず薬さじを使用すること。
    また、もし手に付いたときは、ぬるぬる感が取れるまで大量の水で洗い流し、
    顔には手を触れないこと。目に入ると失明の恐れがある。
    必ず保護メガネ着用すること。

解説

  1. ハーブティーの色調変化は、含まれる『アントシアン色素』の水素イオン付加・解離平衡が
    関与していると思われますが、ハーブティーに含まれている色素には、アントシアン以外の
    色素も含まれるため、それらの相乗効果で、複雑な色の変化を見ることが出来ます。
  2. アントシアン(anthocyan)の名前の由来は、anthos(花)とkyanosis(藍色)からきたもので、
    ブドウやイチゴ、チェリーなどの花や果皮に含まれる赤、紫、青などを示す色素です。
    アントシアン系の色素は、ポリフェノールの一種で、分子中の成分との結合状態や
    生育温度、水分の多少、日照条件、品種などによって、特有の色を呈します。
    また、酸性では赤色、アルカリ性では青色が増します。
  3. アントシアンは、抗酸化作用、動脈硬化抑制作用、がん予防などに効果的である
    との報告がなされています。
    ブルーベリーの紫色の色素もアントシアンで、この色素には視力回復、眼精疲労改善の
    効果があると言われています。
  4. アントシアンは、アントシアニジンとアントシアニンの総称です。
    アントシアニジンとアントシアニンの構造を以下に示します。

    R1/R2/R3=H/H/Hアントシアニジン

    糖としてグルコースが結合したアントシアニン
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