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-実験 NO.155-

実験B-9 <健康飲料中の鉄を分析しようの巻>

所要時間
30分
投稿者
日本分析化学専門学校

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準備するもの

【使用器具・薬品】 
・ 硫酸アンモニウム鉄(2)6水和物(モール塩)(7g)
・ 1,10-フェナントロリン塩酸塩(0.24g)
・ 塩酸(適量)
・ 塩化ヒドロキシルアンモニウム(10g)
・ 酢酸(適量)
・ 酢酸ナトリウム(0.84g)
・ メスフラスコ
・ ビーカー
・ 比色管(共栓付試験管でも可)
・ ホールピペット
・ 鉄分入り健康飲料

【材料の入手】
・ 硫酸アンモニウム鉄(2)
・6水和物(モール塩)(500g:1,500円)
・ 1,10-フェナントロリン(オルトフェナントロリン)塩酸塩(1g:1,150円)
・ 塩化ヒドロキシルアンモニウム(25g:900円)
・ 酢酸ナトリウム(500g:1,050円)
・ 塩酸(500ml:900円)・ 酢酸(500ml:1,500円)
・ 鉄分入り健康飲料(炭酸飲料でない方がよい)

実験の手順

  1. 硫酸アンモニウム鉄(2)6水和物7gを水に溶かし、6Mの塩酸2mlを加えた後、1lに希釈する。(鉄イオン標準溶液)
  2. 1,10-フェナントロリン塩酸塩0.24gを水200mlに溶かす。
  3. 酢酸ナトリウム0.84gを100mlに溶かした溶液と、0.1M酢酸を同体積混ぜ合わせて溶液を調節する。(酢酸緩衝溶液)
  4. 塩化ヒドロキシルアンモニウム10gを100mlの水に溶かす。
  5. 鉄イオン標準溶液を100倍希釈し、メスフラスコ(50ml)に5,15,25mlをそれぞれとる。
  6. それぞれの溶液に塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液5mlを加える。
  7. さらに1,10-フェナントロリン溶液8mlを加える。
  8. 酢酸緩衝溶液を10ml加える。
  9. 精製水で50mlにメスアップし、よく降り混ぜた後、比色管に移す。(鉄の標準試料の作成)
  10. 試料溶液2mlを取り、6~9の操作を行う。
  11. 同様に空試験用の試料を作成する。
  12. 試料溶液と標準試料の色を比較する。

アドバイス

  1. 酢酸緩衝溶液によりpHを弱酸性にすることで、共存する金属成分からの妨害を防ぎ、鉄を効果的に定量することが出来る。
  2. 鉄は特に周辺環境からの汚染が考えられるので、注意して実験すること。

解説

この実験は、鉄(2が1,10-フェナントロリンと反応して2 が1,10-フェナントロリンと反応してFe(2):phen=1:3の金属キレートを生成する反応を利用しています。 この金属錯体は長時間変化せず安定です。 1,10-フェナントロリンと錯体を形成するのは2価の鉄のみです。鉄は水溶液中で3価で 存在することがあるので、還元剤として塩化ヒドロキシルアンモニウムを添加しています。 この実験は、1,10ーフェナントロリン吸光光度法としてよく用いられています。吸光光度計があれば波長510nmで測定してみてください。 鉄分の他にカルシウム、ビタミン類などを含んだ飲料などをまとめて機能性飲料と呼びます。 これらの飲料は栄養成分の補給機能、おいしさなどの食品が生体の感覚に訴える機能、さらに、体調リズムの調整等生体にある種の働きをする体調調節機能を持っています。
コメント(1件)

モリモリ

(2021/07/06)

1,10-フェナントロリンと錯体を形成するのは2価の鉄のみです。
→3価の鉄も錯体をつくりますが、510nm付近に吸収がないだけです。この錯体は金属指示薬(フェロイン、フェリイン)で利用されています。2価鉄と3価鉄で色が変わります。

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