実験A-36 <ジュースからDNAを取りだそう!の巻>

- 投稿者
- 日本分析化学専門学校
- 所要時間
- 70分
- 使用器具・薬品
- 【使用器具・薬品】
100%ジュース 30mL
(開封して間もない新鮮なもの。グレープフルーツやオレンジジュースがオススメ)
エタノール 30mL
コップ
【材料の入手】
・無水エタノール…薬局やインターネットで購入可能(500mL:1500円)
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DNAは極めてもろいので、エタノールを加える前、あるいは加えた物を
かき混ぜてしまうと、細かく切れてしまいます。大切に優しく取り扱ってください。 -
ジュースはできるだけ新鮮なものを使って下さい。開封して時間がたったものは、
DNAが分解されてしまっている可能性があり、うまくいきません。
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DNAはどこにある?
DNAにはいくつもの遺伝子が記録されて、生きものの記録を細胞から細胞へ、
親から子供へと伝えています。
野菜などの真核生物の場合、DNAは細胞の真ん中にある核というところに
存在しているので、DNAを取りだそうと思うと、まず細胞や核を壊さなければ
なりません。しかし、今回使用したようなジュースの場合、果物を絞った段階で
すでに細胞は壊れ、ジュースの中にDNAが溶けているので、細胞を壊さなくても
DNAを取り出すことが出来たのです。 -
エタノールを入れるとどうしてDNAが出てくるの?
ジュースの中に溶けているDNAを肉眼で見るためには、溶けにくい液体の中で
析出させる必要があります。DNAは水には溶けやすいですが、エタノールには
溶けにくいという性質を持っています。実は今回はこの性質を利用しています。
静かにエタノールを注ぐと、混ざらずにエタノール層と水層の2層になります。
そこで、水層にとけているDNAがエタノールに触れると、DNAは溶けていられずに
析出します。さらにDNAは比重が軽いため、上部に浮いてくるので、DNAだけを
集めることができるのです。
※このとき、コップの壁面をエタノールを伝わらせるような感じで入れ、ジュースとエタノールが2層に分かれるようにする。 また、入れた後も2層が混ざらないように、絶対にかき混ぜないこと。
エタノールを入れてすぐに白いもやもやしたものが見えます。
だんだんとDNAが析出してきました。
DNAがエタノール層のほうへ浮き上がっていく様子が分かります。
浮いてきたDNAが集まりました。
浮き上がったDNAをじっくり見ると気泡をたくさん含んでいるのが分かります。
トマトケチャップやジャムでも観察することができます。
ただし、粘りけが強い場合は、あらかじめ少量の水で薄めてから実験に用いるとDNAが出てきやすくなります。