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実験A-33 <秘技!水の上を歩ける~ダイラタンシー~の巻>

投稿者
日本分析化学専門学校
所要時間
10分
使用器具・薬品
【使用器具・薬品】
・ 片栗粉もしくはコーンスターチ(デンプン)
・ 水
・ 割り箸(かき混ぜるものであればなんでも可)
・ 計量カップ
・ 洗面器
※大胆にやるなら桶や家庭用プールを用いてください。

【材料の入手】
・すべてスーパーなどで入手可能 

  1. 片栗粉を計量カップで約400ccとり、コップに入れる。
  2. 割り箸でゆっくりかき混ぜながら水を約200cc加えて、全体を均一にする。 →ダイラタンシーの出来上がり。 ※デンプンの粉質によって加える水の量は異なりますので、様子を見ながら量は加減してください。
  3. ダイラタンシーを使って遊ぼう!
  1. ダイラタンシーをおもいっきりかき混ぜてみる。 →水だったら無理なくかき混ぜられるけど、ダイラタンシーはどうなった?
  2. 手のひらをダイラタンシー表面と水平にして、ゆっくりと洗面器の底まで沈ませる。 その後、手のひらを水平に保ったまま、一気に上に上げてみる。 →水だったら何の抵抗もなく簡単に上がるよね。ダイラタンシーはどうなった?
  3. ダイラタンシーを手にとって、お団子を作る要領で丸めてみる。 その後、手のひらで置いてみる。 →水だったらまずお団子は作れないね。ダイラタンシーはどうなった? →手のひらに放置するとダイラタンシーはどうなった?

<動画 ダイラタンシーで遊ぶ> ○大量にダイラタンシーを作ると、まさに忍者のように水の上を走れます。 ただし、一旦底に沈み、急いで足を動かすと液体が固まってなかなか抜け出られません。 このときは落ち着いてゆっくり片方の足をあげて、上げた足をその地点でダイラタンシー踏みしめると、その部分が固まり、踏み台になります。その間にもう一方の足を抜いて同じ要領で脱出できます。

  1. ダイラタンシーは日持ちしません。特に夏場は日が経つとデンプンが腐りますので、衛生面から言っても、実験する日に調整してください。
  2. ダイラタンシーを作るときは小麦粉が飛び散る可能性がありますので、お風呂場で行うか、もしくは新聞紙を洗面器の下に敷いて行うと後の掃除が簡単です。

  1. 液体には2種類のタイプがある理想的な液体、たとえば水の場合には、力を加えると流れますが、力と変形は比例関係にあります。これをニュートン流動といいます。一方、力を加えている時間で流れ方が変わり、力と変形が直線的な比例関係にないものを非ニュートン流動といいます。非ニュートン流動には、今回実験で行ったダイラタンシーと、もう一つの液体であるチキソトロピーがあります。
  2. ダイラタンシーとチキソトロピーの特徴ダイラタンシーは今回の実験で体験していただいたように、液体に力を加えると固体のようになり、力を弱めると液体に戻る性質を持っています。砂浜を自動車で走るとタイヤがめり込みますが、石川県の能登半島にある千里浜は、砂浜がちょうどダイラタンシーの現象で自動車の力で硬くなり、自動車で走れます。一方チキソトロピーは、力を加えると液体になり、力を弱めると固体のようになります。身近な例で言うと、トマトケチャップやペンキ、底なし沼、地震が発生したときの地面の液状化現象などがチキソトロピーです。
  3. ダイラタンシーの仕組みは? ダイラタンシーは粒子の並び方によって起こります。粒子の並び方で、隙間が最も少なくなるピラミッド型を「最密充填」といいます。片栗粉や千里浜の砂と水を混ぜると、この最密充填の詰まり方になります。この場合、粒子と粒子の間には水があり、潤滑剤の役目をして液体のように流れます。しかし、最密充填は上からの力には弱く、これに力を加えると粒子は移動してその並び方が変わり、固体のように硬くなるのです。