卒業研究事例紹介

本校では、昭和57年の創立以来、「卒業研究」に取り組んでおります。その意図するところは、それまでに学んだ成果を確認すると共に、これを自ら企画し、実施することにより、「分析化学者」としての更なる成長を促そうというものです。また、研究を通じて、社会で責任をもって事に当たることのできる人材育成の一助とも考えており、学生達はこれらの意図を充分に理解し、企画・実験・考察に取り組んでおります。特に、産学連携については積極的に取り組んでおり、各企業様で取組んでおられるテーマのヒントになるようなものがあれば、本校でもその一助になれるような研究を学生に取り組ませたい所存でございます。あるいは、学生が企業様にお邪魔し、本校と連携の上、研究を進めていくといったことも過去にはございました。つきましては、これまでに取り組んできたテーマを下記に示しておりますので、ご興味のあるテーマがあり、こうした本校の趣旨にご賛同いただけましたら、まずは下記窓口までご一報いただければ幸いと存じます。

お問い合わせ窓口
日本分析化学専門学校 産学連携・卒業研究係:info@bunseki.ac.jp
PICK UP!

腸内発酵による水素生成の研究

玄米でアンチエイジング!?

最近ドラッグストアなどで目にする水素水。水素が体に良い理由はなぜ?そんな疑問が研究の出発点でした。調べると、水素は加齢や疾患の原因となる活性酸素などの活性種を除去している可能性があることや、水素水を飲むだけでは長時間、水素を体内に保てないことが分かりました。さらに、食物繊維があると腸内細菌による発酵で水素が発生することも報告されていました。そこで、食物繊維が豊富な玄米と、食物繊維が豊富な糠を取り除いた白米を食べて、水素発生量に違いがあるか、呼気中の水素濃度を測ることで検証しました。その結果、玄米の方が白米よりも多くの水素が長時間発生することが分かりました。食物繊維以外にも、どのような食品成分が水素生成に関与しているのか、検討を続けたいです。

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整腸剤中の有胞子性乳酸菌の研究

乳酸菌はホントに生きているの?

整腸剤には「乳酸菌が生きたまま腸まで届く」とアピールしているものがあります。「強酸性の胃を通って本当に生きたまま腸まで届くの?」という素朴な疑問から研究がスタート。人工胃液から人工腸液へと移動する中で、整腸剤中の乳酸菌がどれだけ生き残って活動できるかを調べました。乳酸菌には胞子のある「有胞子性」のものと、そうでない「無胞子性」のものがありますが、有胞子性乳酸菌は胃液の中でも生存率が高く、無胞子性乳酸菌は胃液の中では生存率は低いものの腸内で数が増えやすい、ということで一長一短であることがわかりました。この実験を通して、微生物を扱うバイオ系企業で役立つ技術がしっかり身につきました。

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カプサイシンの効果的な放出制御システムの開発

ダイエット食品を開発!

天然の物質でやせるには?ということで、このテーマが決まりました。唐辛子の辛み成分「カプサイシン」には、体のむくみや冷え症を治すだけでなく、脂肪を燃やすダイエット効果があります。ただし、それをそのまま飲むとお腹をこわしたりするので、胃の中でだけカプサイシンを放出して効き目が出る「放出制御システム」をつくろう、ということになりました。まずは唐辛子からカプサイシンを抽出。ソフトコンタクトレンズと同じゲル状の材料に閉じ込めた上で、カニの甲羅と海草の成分からつくった天然物質(pHの変化で反応する)をコーティングした結果、胃の中でだけカプサイシンを放出する食品ができました。研究を通じて、試行錯誤しながら考える力がたっぷりつきました。

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鳴き砂の成分分析

鳴き砂は、なぜ鳴くの?

新聞に出ていた「鳴き砂」のコラムを読んで興味がわき、その成分を調査しました。サンプルは京都の琴引浜と砂方浜、鳥取の陸上浜の三カ所から採取。鳴き砂は石英を60%以上含み、粒径が大きい特徴があることをまず文献で確認した上で、各浜の砂粒の大きさや金属とシリカ(酸化ケイ素)の含有量を調べました。顕微鏡で粒径分布を見ると、琴引浜と砂方浜の粒が陸上浜より大きめ。シリカは三カ所とも60%以上でしたが、陸上浜は金属量の数値も高く、鳴き砂の条件に合わなくなってきていることがわかりました。次は海水汚染が鳴き砂にどう影響するのかなど、引き続き研究していきたいと思っています。

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チョコレート中のPEAの定量

チョコを食べると恋に落ちる?

チョコレートの原料カカオに含まれるPEA(β-フェニルエチルアミン)は、脳内分泌物質でもあり、恋に落ちた気分にさせると言われる物質。このPEAが本当にチョコレートに含まれているならバレンタインデーにアピールできる! と考え、研究に取り組みました。しかし、分析事例は文献などにも見あたらず、ほぼゼロからの出発でした。PEAはカカオ豆の皮に含まれていてチョコレートの原料になる際に皮が除去されるため、カカオの含有量に関係なく、カカオ豆の処理状態によりPEAの含有量が変化することがわかりました。市販のチョコレートから脂質やタンパク質を取り除き、純粋なPEAを抽出する過程で食品分析の前処理方法はしっかり身につきました。

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おから中のセルロースによるキュプラの合成

おからで繊維をつくろう!

年間80万トンも廃棄されるおからの有効利用を模索している中で、おからからセルロース(繊維の素)を取り出し、服の裏地などに使われている繊維「キュプラ」をつくってみようということになり、この研究はスタートしました。まずはおからの水分を飛ばして、次にタンパク質やデンプンを除去。最後に残ったセルロースを、キュプラをつくるための「シュバイツァー試薬」に入れて溶かします。この液を注射器で吸い取って、薄い酸性溶液に絞り出すと、見事キュプラの出来上がり! 先輩が行った研究からの継続ですが、問題となる回収率の低さを解消すべく、私たちは取り組みました。結果、おからに含まれるすべてのセルロースを回収できたのが大きな進歩でした。

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UV検出器を用いたHPLCによるアミノ酸分析法の検討

学校発でアミノ酸分析法を開発!

アミノ酸は医薬品や食品・化粧品などさまざまな製品に含まれているため、分析対象としてニーズが高い物質です。しかし、高価なアミノ酸分析装置を所有する企業や研究室は限られています。そこで、学校などでも所有している汎用的なHPLCを用いたアミノ酸分析を普及したいというのが研究の始まりでした。研究の結果、OPAでアミノ酸を誘導体化し、ODSカラムを用いることでシステイン以外のアミノ酸を検出できる分析法を開発しました。さらに、すべてのアミノ酸が一度に検出でき、コストや時間を意識した分析法の開発を続けたいです。機器分析の基本を学んだからこそできることだと自信がつきました。

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酸化チタン光触媒でのVOCの分解

光触媒を性能アップ!

空気や水など、環境を浄化する技術として注目を集めているのが光触媒。「酸化チタン」という物質が光に反応して活性酸素をつくり、有害物質を分解して無害化する、というのがその原理です。酸化チタンは太陽光のごく一部である紫外光にしか反応しませんが、卒業研究では太陽光の50%を占める可視光で反応させてみようと試みました。試行錯誤を重ねるうちに、実験の狙いとは別に、光触媒には物質を「分解する」だけでなく、「放出する」という機能もあることを発見することができました。次はこの発見をもとに「光をあてれば有益な物質を出す」、そんな光触媒を開発していきたいですね。